
益田の夜はスゴい! 週末を彩る2つの神楽公演その②「さかなや道場石見神楽定期公演」
居酒屋でお食事しながら石見神楽!? そんな噂を聞き、とうとうやってきた「三代目網元 さかなや道場 益田駅前店」。三谷神楽社中さんの上演と合わせてじっくりと密着取材してきました。
さかなや道場副店長 中島さんにお話を伺いました










さかなや道場さんは今年2年目で、もうすぐ3年目を迎えられます。今回のインタビューに応じてくださったのは、笑顔が素敵な中島大輝副店長さんです! 開演前の忙しいお時間でしたが、快く受けてくださいました。
まず初めに、1番の目玉であろう『神楽が観られる居酒屋』について聞いてみました! この石見地方は神楽が盛んで、地元民に長く愛され続けている石見神楽…そんな神楽を飲食をしながら見れたら皆さんに喜んでいただけるのではないか!? という事で,店内に特設ステージを作り、始められたそうです。(この日も、そんなお店側の思いに呼応するように、神楽好きの方や鬼棒・弓矢を持った子ども達が集まっていました)
お客様が多い時は座敷に入りきらず、通路に椅子を設置したり立ち見のお客さんも出てくるほど賑わうそうです! 私のお家の近くにもこんなに楽しいお店が出来たらな~と夢を見てしまいました。
神楽以外にも嬉しいこだわりがあります! なんといっても、『浜田港直送の鮮魚』です!! 海に因んだ料理がメインですが、その中でもいちおしメニューは毎日手書きで作られているそうです!!! 地酒も取り揃えておられ、食べても飲んでも“島根”を感じられますね。中島副店長、ありがとうございました。
- 三代目網元 さかなや道場 益田駅前店
- 月に1回店内で「石見神楽」上演を行っている居酒屋さん!
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ご当地メニュー 絶品のお刺身をいただく!
上演前に一品注文っ! 浜田港の刺身3種盛りならぬ、4種盛り!! サワラ・メダイ・マグロ・ヒラメです!!! 毎日浜田港から直送なのでその日にしか味わえません。高さのある器に4種の鮮魚が飾られて、ドライアイスの煙がふわぁ~ってなって…演出まで素敵です! お刺身の贅沢な厚みで頂きました。もちろん脂の乗った美味しそうなお魚。醤油に脂が浮いていて目でも美味しさが分かりました。
いよいよ「恵比寿」の上演です










さかなや道場さんでの一つ目の上演は三谷神楽社中さんの「恵比寿大黒」です! めでたい演目の為お祭りや祝い事などいろいろなところで目にする恵比寿さんですが、大黒さんも出てくる舞を見るのは初めてです。加藤代表の演目紹介の後、舞台の幕が開きお囃子とともに始まります。
にこにこ顔の恵比寿さんと大黒さんが出てくると、子どもたちがざわざわし始めます…。神楽好きの子どもたちは飴がもらえることをわかっているようです。
恵比寿・大黒の見どころといえば「鯛釣り」のシーンですね! 恵比寿さん大黒さんが撒き餌の要領で飴を撒くのですが、本日は居酒屋バージョンですので“撒く”のではなく“配る”のです!! 私も子どもに混ざって…ちゃっかり飴を頂きました!!!
客席からはたくさんの“おひねり”をつり上げ、最後には大きな鯛を釣りあげます。大黒さんの応援を受けてやっと釣り上げた鯛は生きがよく、捕まえようとする恵比寿さんのひょうきんな動きは自然と笑いを誘います。
次の演目に移る前に休憩時間があり「中断して神楽が見られなかった~」なんてことがないように、注文やお手洗いに行く時間が設けられています。これも居酒屋ならではのスタイルですね。
- 恵比須(えびす)
- 商売繁盛・豊漁の神として日本全国で知られる恵比須様の松江市…
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ご当地メニュー 浜田名物赤天!
恵比寿の上演中に注文したのは「赤天」。アツアツでおいしそぅ~!! ピリ辛のすり身をころもで包んだ、石見のソウルフードといえるでしょう。お酒にピッタリですよ♪ 益田では、萩石見空港で販売しています。
2演目は「国譲り」! 力比べの神楽です










さかなや道場さんでの2つ目の上演は、「ゆったりとした舞の中にある、豪快な力比べのシーンや、最後の5人の喜びの舞などが魅力」と代表者加藤さんに見どころポイントを教えていただいた「国譲り」です! この演目は「鹿島」「国受け」とも呼ばれており、出雲神話を代表する演目です! 内容や筋書を理解した上で見ると『神々が競い合う力比べのシーン』の面白さや見応えがグッとあがります。ゆったりとした2人の天の神の舞から始まり、大国主さんなど、地上の神様が次々に現れ国譲りの交渉をします。最後には、話がつかず力比べをする…というストーリーです。
担当は浜田市の「国譲り」しかみたことなかったので、恵比寿様が登場することにビックリ!(また恵比寿様の笑顔に会えました)
いよいよ神VS神の力比べが始まりました!大きな動きと豪快な舞で自分達の力を見せつけ、観客の目を引きます。負けた建御名方命(たけみなかたのみこと)は追い詰められ最後には、力比べに敗れて降参します。ラストは5人の喜びの舞! 面を外した舞い手の表情はまさに真剣な表情。高天原から地上に神が降りたち、日本を治め始める「天孫降臨」の物語につながる演目としての重みを感じました!
三谷神楽社中さんっ! すばらしい神楽でした!! ありがとうございました。
- 鹿島(かしま)
- 初代天皇誕生の基となる、天孫降臨の前段の神楽で別名「国譲り…
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ご当地メニュー アートのようなカルパッチョ
店員さんオススメの「鮮魚のカルパッチョ」。浜田港直送のメダイを使ったカルパッチョでしたが、薄めに切ってあることでツルっとパクパク食べちゃいました。見た目はオシャレで、鮮度も抜群! ソースもとってもおいしかったです。日本海の幸満点でした。
三谷神楽社中代表さんにインタビュー










代表の加藤正良さんにお話を伺いました。三谷神楽社中さんは明治のはじめ頃に発足され、2年前に150周年を迎えられました。始まりは大神楽の宮司さんから舞を教わり現在に至って長く活躍をされておられます。現在は約15人で活動をされており、とても歴史のある社中さんです。
印象深い上演をお伺いしたところ、「大島青松園」というハンセン病療養所の島に公演に行った時の思い出を話して頂きました! 国立療養所大島青松園は香川県高松市にある高松港沖の瀬戸内海に浮ぶ島です。島に渡るには船で行くしか方法がなく、天候が荒れているときはその船さえも出せないそうです。約20年前の上演でも、4回中2回ほど船が出ず島に渡れない為中止になったそうです。そんな中、観る事の出来た三谷神楽社中さんの舞に、島の方はとても感動して船で帰る際の見送りでは見えなくなるまで力いっぱい手を振ってくれたそうです!
現在では、夜神楽や宮での奉納舞など各地で観ることのできる神楽ですが、島で暮らしている方達にはとても新鮮だったと思います。上演を観て心に響くものがあったのではないかと思うと、今の自分達はありがたい環境にいるなと思い感慨深いものがありました。そんな心を動かす舞をされる三谷神楽社中さんの十八番と言えば! 鍾馗、十羅刹女(じゅうらせつにょ)、天神、天岩戸などなど数多くあるそう。今回の上演にもある「国譲り」の見どころを教えてもらいましたよ! ゆったりとした舞の中にある、豪快な力比べのシーンや、最後の5人の喜びの舞など…神楽通になる為の見どころポイントをご教示頂きました。
(主催:三代目綱元さかなや道場益田駅前店1月26日取材 文:ちはる 写真:KAO)
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以心伝心! 子どもも心酔、石見神楽
石見神楽を見た子ども達は、そのかっこよさに魅せられ自らその動きを真似る子も多く見受けられます。石見地方ではお馴染みの神楽遊び。こういった子ども達が未来の伝統の担い手となって受け継いでゆくのです。
週末を彩る益田の神楽公演
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