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俳優 鈴木拡樹「石見の神楽在月」スペシャルインタビュー

俳優 鈴木拡樹「石見の神楽在月」スペシャルインタビュー

映画や舞台など様々なジャンルで活躍する俳優 鈴木拡樹さんに、スペシャルインタビューをさせていただきました

(2022年7月30日)


写真/河野英喜 ©石見観光振興協議会

①受け継がれてきた衣裳を着て、日本遺産の技の重みを感じました

衣裳を身にまとう鈴木拡樹さん(ポスター撮影)
インタビューを受ける鈴木拡樹さん


(石見観光振興協議会:以下省略)ー ー ー今回のポスター撮影にあたって衣裳を3パターン着られたと思いますが、石見神楽の衣裳を着られた率直な感想はいかがですか。


鈴木氏:僕も時代劇とか和物のお仕事を少しさせていただいていますが、舞台ということもありまして、軽量化され動きやすいものをいつも着用しています。今回は舞もある中での伝統文化のご衣裳ですから、もう重厚感がすごいですね。


ー ー ー色々な重みがあると思います。


鈴木氏:そうですね。重みも、本当にあらゆる意味の重みが詰まっているといいますか。もちろん分かりやすく重量もそうですけど、作り手さんの想い一つ一つが、刺繍を見てもそうですけど、すごく細やかなお仕事をされていて、日本遺産になる技ですよね。そういうものを感じました。


ー ー ー石見地域では石見神楽面や石見神楽衣裳、石見神楽蛇胴などの産業が代々受け継がれています。舞台などで様々な衣裳を着られると思いますが、石見神楽の衣裳の魅力はいかがですか。


鈴木氏:今回撮影で着させていただいた衣裳は、本番でも使われているものとお伺いしたので、受け継がれてきたものを僕も着させていただくことができて、石見神楽衣裳の魅力を感じましたね。

②神々しさや澄んだ瞬間の贅沢な時間を、みなさん経験してもらいたいです

迫力ある石見神楽の花形「大蛇」
インタビューを受ける鈴木拡樹さん

ー ー ー島根県の石見地域には9つの市と町がありますが、実は130を超える神楽団体があります。最も神楽が舞われる9月から11月は3ヶ月間で500以上もの神楽が舞われています。


鈴木氏:9つの市町の中に130もですか。500以上の神楽が舞われているということですが、それは観光協会さんのホームページとかを見ると、どこでやっているよみたいな情報が載っているんですか?


ー ー ーそうですね。 我々石見観光振興協議会としてもこの9月から11月を“石見の神楽在月”と銘打ち、公演情報の発信などPRもしています。(鈴木さんにはポスターのモデルにもなっていただきました)



ー ー ー先程、生の迫力にすごく感銘を受けたとおっしゃっておられましたが、実は神楽団体はプロとしてされている訳ではないんです。


鈴木氏:そうなんですか?


ー ー ーもちろん皆さん本気で取り組んでおられますが、生活のためにされている訳ではないんです。


鈴木氏:なるほど。そういう意味ですか。


ー ー ーはい。普段は普通の仕事をされながら、自分が小さい頃から見てきた神楽を次の世代に受け継いでいきたいという気持ちで、民間伝承で引き継いでおられるんです。鈴木さんが見ていらっしゃるフィールドとは少し違うかもしれませんが、表現者という立場でどのように感じられますか。


鈴木氏:お話を聞いてなおのこと、プロの方々だなと思いましたね。その方達の洗練された舞であったりとか、奏でる音楽であったりとか。

僕はこういう大々的なステージでの神楽は初めてで、撮影とかの撮入祈願みたいな形で神社を訪れて、そこで短い1エピソード分の神楽を見せてもらったりとかはあるんですけど、そういう空間にいて神楽を体験する時って、やっぱり神様が近くにいる感覚であったりとか、そういうものを感じ取れる瞬間だったりとか、すごく充実した時間だなと感じているんです。

今回はさらに大きいですけど、このパワーってなんなんでしょうね。これはもう感じてもらわないと分からないと思うので、ぜひ見に来てくださいなんですけど、見て感じていただくと分かると思います。

神々しさであったりとか、澄んだ時の瞬間とか、感動しますので、なんというか贅沢なんです、この時間って。贅沢な時間をみなさん経験してもらいたいと思います。「石見の神楽在月」期間中に行っていただければ、各地で色んなものが見られるということは、1箇所だけじゃないですし。


ー ー ーそうなんです。石見地域の各地で上演されています。


鈴木氏:自分で調べてツアーを組めるかもしれないですね。ここと、ここと、ここでみたいな。連休とかで3泊くらいで、その間に様々な神楽を見ることができることは、とても充実した、幸せな時間になると思いますね。

③石見には、脈々と受け継がれてきた演劇のすべての地盤があります

「神楽の魅力をぜひ経験してもらいたい」と鈴木拡樹さん
大蛇蛇胴製作風景(植田蛇胴製作所)
神楽衣裳製作風景(細川衣裳店)
神楽面製作風景(柿田勝郎面工房)

ー ー ー撮影の際、蛇胴や衣裳のことをお聞きされたと思いますが、蛇胴も皆さん手作りで作っておられ、文化として石見地域に根付いています。


鈴木氏正に石見で生まれたものですよね。

僕はもしかしたら今までに石見神楽を映像で見たことがあったのかもしれない。あの形状が登場する演目がそうなのだとしたら、どこかで見ていたのかもしれないと思いました。「あっ、これがそうなんだ」って。

“蛇胴”という言葉自体を知りませんでしたけど、それが石見地域で作られたっていうのはすごいことだなと思います。

僕は今回、舞台裏の方も見せていただいて、蛇胴がどういう風に組み上げられているのかも見せていただきました。村から村へ若者が伝えていったという噂があることを、僕も台詞として言わせていただいているんですけど、ということは旅公演ができるっていうことですよね。提灯から着想を得たことが素晴らしいことだと思います。


ー ー ー先程も少し触れましたが、「石見の神楽在月」を契機に本当にたくさんの方々に来ていただきたいなと思っています。まだ見られていない方や石見神楽を知らないという方もいらっしゃると思いますので、そういった方々に対して石見神楽の魅力をお伝えいただけますか。


鈴木氏:まず、“神楽”という言葉自体を、聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ一度見ていただきたいなと思います。日本の伝統芸能の原点に近いもの、そのぐらい歴史が詰まっているものです。

現代で舞台があるっていうのは、脈々と受け継がれてきた演劇が元に成り立っているので、演劇のすべての地盤といいますか、その足下を作ってきた環境がそこにあると思うんです。そういった背景をしっかり見ていただいて、舞台好きの方はぜひ見ていただきたいなと思うんですけど、どういう形で演劇っていうものが進化していったりだとか、変化していったりだとかを感じ取れたりするものだと僕は思います。

また、舞台もそうですけど、見ようと思ってもなかなか最初の1歩目が難しいじゃないですか。我々がいかに面白いのか、楽しいのかを伝えることによって来ていただけると思っています。

話の中にあった生の魅力は映像では出せません。くつろいでいる時間の中で見れる最高の時間をお届けしているのがテレビだと思いますが、舞台は足を運んでいただき、その空間の中でたくさんの人と一緒に空気感を体験することが魅力だと思っています。この違いはすごく心に響いたり、刺さるものだと思っていますので、そういう熱い衝撃を体験してもらいたいなと思っています。

まだ舞台を観に行ったことない方はぜひ、この空気感を贅沢な時間として味わっていただきたいなと僕は感じています。

ー ー ーありがとうございます。生の体験でいうと、石見神楽も様々な形があって、海でやるもの、神社で朝まで夜通しやるものもあり、神楽以外にも温泉などの様々な魅力が石見地域にはあるので、ぜひお越しいただければと思います。


鈴木氏:僕も行かせていただきたいです。


ー ー ーぜひお待ちしております。本日はありがとうございました。


石見地方では、「石見の神楽在月」(9月から11月)だけでなく、一年間通して週末などに石見神楽を見ることができます。詳しい情報は、当サイトや各地域の観光協会・SNSなどで発信されていますので、ご確認の上お越しください。


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Column

プロフィール|鈴木拡樹 【俳優】

大阪府堺市出身。2007年ドラマ『風魔の小次郎』(TOKYOMX 他)でデビュー。 主な出演作に、「2.5次元男子推しTVMCWOWOW)、ドラマ「カフカの東京絶望日記」(MBS 他)、映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」、東映ムビ×ステ「死神遣いの事件帖 ―傀儡夜曲」、「映画刀剣乱舞 ―継承」、ミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」、劇団新感線「髑髏城の七人」Season月、舞台『刀剣乱舞』シリーズなどがある。また、特別展「きもの KIMONO」や「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」の音声ガイドを務めるなど、舞台を中心に、映画やTVなど幅広く活躍の場を広げている。